氷見石岡神社祭礼 渡御行列之図
ひみいわおかじんじゃさいれい とぎょぎょうれつのず
戦前のだんじり行列の図を小学生が「総合的な学習の時間」の中で神社から発見した。
西条市立氷見小学校の6年生児童3名(日野翔太君、川原基弘君、村上巧君)が、地域から学ぶ中で4月下旬石岡神社をたずねた。越智基晃宮司が資料を捜して下さり、児童がいただいた中にこの「だんじり行列の図」のコピーがあった。
この図は戦前のものだが、その存在が忘れられており、西条祭りを研究した書物にもまったく触れられていない。西条祭りの研究者の団体にも照会したところ新発見という。
5月20日、村上俊行氏、吉本勝氏ら研究者10名による調査が行なわれた。以下、その特徴。
- 戦前の氷見石岡神社祭礼のだんじり行列を伝える詳細な唯一の絵画資料。
- 「新居郡氷見町」の文字や、鉄道駅路線図等により、昭和初期の3色刷り印刷物と考えられる。西条市制以前のもの。
- 中でも特筆すべきは「神楽台」!「船のような山車に乗り込んで、御神楽を奏していた。祭り前には神社への神楽の練習にいっていた。」と、御神楽屋台土居組の黒川氏は伝承している。それが、この行列図に描かれている。車のついた山車の上に神楽太鼓(火炎太鼓)を置き、烏帽子をかぶった楽人たちが乗り込んでいる。これが、明治42年頃小松に売られ、対象4年の御大典を最後に処分されたともいわれている。(吉本勝著「西條のおまつり」による)
- 先頭を行く御神楽屋台土居組(明治27年建造)、榊をもつ神官、太鼓、社名旗一対、小神輿、台傘、馬に乗った禰宜、幟八流、真榊二台、神楽 台、弓、矛旗五対(黒、白、赤、黄、青)、大神楽、毛槍、馬に乗った宮司、立傘、挟箱、御櫃二挺、御供屋台古町組(明治31年建造)と続く。
- だんじりは、御神楽屋台、御供屋台に続いて、1番屋台から24台が鳥居をくるり桜の馬場を行列している。台数としては誇張があるかもしれない。だんじりはすべて二階に描かれ、水引幕の色、紋、提灯などに変化をつけているが、一台一台、番号順に照らし合わせると合致しない。ただ、全体として当時の氷見のだんじりの特徴をよく押さえている。
だんじり正面の旗はなく、土台は正面に御簾を、周りは幕で覆い、隅に警固の人がいる、担ぐ人は土台内部だけで、土台下に足が見える。(だんじり正面の旗は大正ころにはつけられている。)
- みこしは二台・大きな車に擬宝珠高欄が付き、下水引幕、上水引幕には竜、御殿、獅子、牡丹が描かれ、五重の隅房、まくらからはかなり大きな房が吊るされる。一台は夫婦房か?全体に赤く彩色され、黄色で金糸刺繍の表現。三角布団はなく、古式な形態。(三角布団は大正の写真には付けられており、赤い幕のみこしから、全面金糸刺繍へとかわっている。)
- 神苑中央には、相撲が描かれ、見物人がとりまいている。
- 背景には、本社、桜の馬場、松の馬場、竹林が描かれている。
全景が、宮だしからの出発の行列と思われるが、提灯は隅提灯のみで手持ちの提灯もない。参堂から鳥居、桜の馬場、神門、本社の位置関係など現在も変わってなく、当時の様子を今に伝える氷見祭礼の絵画資料として重要である。
2001年5月20日 佐藤秀之 |
この「氷見石岡神社祭礼渡御行列之図」は石岡神社越智基晃宮司のご好意により掲載させていただいております。
また、資料及び解説を提供いただきました佐藤秀之様ありがとうございます。
http://www.saijomatsuri.jp/gallery/ather/togyo.html石岡神社祭礼渡御行列之図